リストラ、なう! 1
今や、不景気でリストラが普通になってきました。
あるサラリーマンの話です。
夜、一〇時過ぎの郊外電車。
酔った男が連れの男に幾度となく同意を求めている。
「信用できないよ、会社は。
あの部長は裏で何をやっているか分からん。
お前も気をつけろ」連れの男も酔っている。
「俺も出るよ。
すぐ出されるよ。
だから、また飲もうよ」乗客の大半はサラリーマンで、酒の入った者も、疲れた残業帰りの顔もある。
二人の会話が車内に響き、ある者は目をつぶり、ある者は天井を見ながら、みなそれぞれに聞いている。
男に子会社への"出向辞令"が出たのだ。
"本社で部長代理くらい……、このまま本社で部長をねらえるか"という矢先のことで、子会社での役職ははっきりしない。
「これはていのいい、お払い箱だよ。
子会社で肩をたたくつもりだ」サラリーマンに厳しい冬の時代が来た。
これは、終身雇用、年功序列を信じて、滅私奉公してきたサラリーマンを突然、奈落に突き落とす出向、転籍、選択定年などの人事である。
円高などによる構造不況型の産業では、一時帰休、退職勧奨などはざらである。
この男をもうひとつ怒らせたのは、この出向を機会に「これから子会社で心機一転して働きたいから、この際、女房と海外旅行に行く休暇を一週間ほどほしい」という部長への頼みが、「子会社はここほゼ楽ではありませんよ。